3つの角度が違う二等辺三角形?そんなのあるの?


要点チェック!
  • 高校までの図形の学習は「ユークリッド幾何学」の世界で勉強しています。
  • 「ユークリッド幾何学」の世界は5つのルールからできていますが、ルールを少し改変した「非ユークリッド幾何学」の世界も存在します。
  • 「非ユークリッド幾何学」の世界では「曲がった三角形」や「3つの角度が違う二等辺三角形」を考えることができます。

ぽんさんぽんさん!

おっ、あかりじゃないか。どうしたんだ?

これこれ見て!

こんなツイートを昨日見たんだよ!

なになに・・・

『今日学校の先生が「内角の和が180度じゃない三角形がある」って言ってたんだけどさー。数学の先生なのに数学できないのかな?180度って小学生でも知ってるよね(笑)』

ふーん・・。なるほどなあ・・・。

おかしなこと言ってるってあかりでもわかるよ!

最近の先生ってダメダメだね!

そんな先生に教えてもらうのはいやだなあ~

いや・・その数学の先生めっちゃ数学できる先生だな

えっ?

ぽんさん何言ってるの?

あかり、三角形ってどんな図形だ?

どんな図形・・むむ・・

えっと・・「3つの線で囲まれた図形」!・・って感じ?

うん。そうだよな。

たしかに「普通の世界」ではそうなんだけど、地球の上に大きな三角形を作るとこんなふうにできちゃうんだ


img1内角の和が180度じゃない三角形

いやいやぽんさん・・

それ曲がってるから三角形って言わないよ?

じゃああかり、地球を平面の地図にしてみよう。

世界地図ね!

世界地図を使って表すと、北極と南極は上の辺と下の辺全部になってることに注意だ。

それでこんな風に、北極から沖縄を通って赤道までの線は直線になる。


img2北極から沖縄へ(平面地図)

そうだけど・・

ほかの2つは?

ほかの2つも・・直線になってる?

てことは・・3つとも直線だから・・三角形??

よし、ネタばらしをしてやろう


数学の5つの"あたりまえのルール"って?

ぽんさん、あかり、何を話してるんですか?

あっ、はるか先輩!

おっ、いいところにきた!

これからいっしょに、「3つの角度が違う二等辺三角形」を考えようってところなんだ。

「3つの角度が違う二等辺三角形」・・?

いったい・・??

まあ聞いていけばわかると思う。

話を元に戻すぞ。

昔々にユークリッドという人がいた。

ユークリッドという人は数学の、5つの"あたりまえのルール"を作った

"あたりまえのルール"?

まず、1つ目!

点と点を直線で結ぶことができる!

うーん・・?

ぽんさん、ユークリッドという人は何をあたりまえなことを言っているの?

あかり、数学ではこの"あたりまえのルール"をキチンと見ることが大事なんだ。

ちゃんと5つ並べるとこんな感じ。


数学の5つの"あたりまえのルール" by ユークリッド

1. 点と点を直線で結ぶことができる。
2. 線分は両側に延長して直線にできる。
3. 1点を中心にして、どんな半径の円でも描くことができる。
4. すべての直角はすべて90度で等しい。
5. 1つの直線が2つの直線に交わり、同じ側の内角の和を2つの直角より小さくするならば、この2つの直線は限りなく延長されると、2つの直角より小さい角のある側において交わる。

・・うわー。明らかに5番目だけ難しいよ!

これ何を言ってるんだろう・・

ぽんさん、5番目は\alpha+\betaが180°より小さければ、どんどん2つの直線は近づいていって、いつかは交わる・・ということでしょうか?


img25番目のルールを表した図

それであってるよー

あー、図を見たらわかったよ!

じゃあやっぱりこれ全部あたりまえのことしかいってないじゃん!

でも実は5番目だけ「あたりまえ」じゃないんだ。

5番目は、"まっすぐじゃない"曲面だとこうやって反例ができてしまう


img25番目のルールの反例

そんなのずるいぞ!

ほんとだ・・でも、

こういう曲がった面なんか考えていいんでしょうか?

あかり、はるか。

数学はどれを使うかルールを勝手に決めていいんだ。

大富豪でも自分たちで8切りとか革命とかルール決めるよな?

なるほど!自分で決めていいんだ!

じゃあ、今まで勉強してきた数学はさっきの5番目のルールでやっていた・・

ということですか?

そのとおり!

高校までの図形の勉強で習うのは、5番目のルールを使う幾何学(きかがく)で、これを"ユークリッド幾何学"と言うんだ。

ユークリッドってそういえば1年生のときにも聞いた覚えがあります。

「ユークリッドの互除法」だな。そのユークリッドさんだ。

それで、さっきの5番目のルールを使わない幾何学を"非ユークリッド幾何学"と言って、この非ユークリッド幾何学なら最初に言った『3つの角度が違う二等辺三角形』が作れるんだ。

たとえばこんな風にね。


img23つの角度が違う二等辺三角形

お・・おおー!

図で見てもらえばわかるように、盛り上がったところを通ることによって距離を稼いで、同じ長さになるように工夫してるんだ。

ぽんさんぽんさん!しつもん!

あかり、どうした?

じゃあ、曲面の上なら、めっちゃぐねぐねした3つの線に囲まれたのも三角形って言えるの?

あかり、それだと何でもOKになっちゃうぞ・・

ルールがなさすぎると大富豪もつまらなくなってくるだろ?

8切りや革命をなくした大富豪ってどう思う?

すぐ飽きそうですね・・

う~ん?

じゃあどんなルール入れたらいいの?

曲がった曲面の上の直線は"曲がった曲面の上に居る人が、最短で行けるルート"って決めるんだ

うーん・・?

こういうことですか・・?


img2測地線の図

AからCに行くのに、最短なルートはbだからbはOKで、他の線は球の中に入ってたり寄り道してるからダメなんですよね。

そうなんだよ!

この、"曲面の上に居る人から最短で行けるルート"のことを「測地線」と言って、これを曲面では直線の代わりにするんだ。

もちろん、普通の「ユークリッド幾何学」では、最短で行けるルートは直線だから、直線=測地線になる。

さっきぽんさんが出してきた「3つの角度が違う二等辺三角形」もちゃんと測地線になってるんですか?

もちろん。

だから、非ユークリッド幾何学では直線の変わりに測地線3本で囲まれた図形を三角形と呼ぶことにすると、さっきの「3つの角度が違う二等辺三角形」ができるんだ。

わかりました!

ルールを増やしたり減らしたりすることで面白いことができるんですね!

あかりの言うとおり、微妙なさじ加減が数学をもっと面白くしてくれるんだ。

学校で勉強する数学は結構ルールががっちり多いから、そこから少しずつルールを抜いていった数学を考えてみると結構面白いと思うぞ!