- 媒介変数は、2つの変数の「仲立ち」をする変数です。
- 公園の遊具の動きにも、媒介変数が隠れています。
- 媒介変数を使えば、様々な美しいグラフを書くことができます。
ぽんさん! お久しぶりです。こんなところで何をしているんですか?
やあ、ゆう。久しぶり。ちょっと大学の勉強で行き詰ってね、たまにこうやって公園でぼーっとするんだ。
へー、ぽんさんでも行き詰るなんて大学の勉強って難しいんですね。
あ、そうそう、ぽんさん。今日の数学の授業で先生がちらっと、「自転車の前輪の軌跡が面白い…」って言ってたのが気になったんですけど…。
ああ、サイクロイドだね!
サイクロイド?
サイクロイド
$$
\left\{
\begin{array}{l}
x=a(\theta – \sin \theta) \\
y=a(1 – \cos \theta)
\end{array}
\right.
$$
このサイクロイドの式は、いわゆる「媒介変数表示」で表されているね。
媒介変数表示
xとyを他の変数の関数として表したもの
ぽんさん、媒介変数ってなんでしたっけ?
媒介変数の説明をする前に、「媒介」という言葉について調べてみよう。
辞書で調べたところ・・・。
「【媒介】両方の間に立って、なかだちをすること。」だそうだ。
なかだちですか・・・。離れている二つのものをくっつけるってことですよね?仲人(なこうど)さんみたいな感じがしますね。
そう!そのイメージだよ。仲人さんって、男女の間に入って、結婚の仲立ちをするよね。それと同じで、媒介変数は二つの変数、例えばxとyの間に入ってこれらをつなぐ役割をする変数のことなんだよ。
例えば、この図を見て欲しい。
なんですか、これ?
実はこれ、サイクロイドなんだ。
え?
サイクロイドは2つの式から成り立っていたよね?その式をそれぞれグラフにしてみたんだ。
サイクロイド($$a=1$$のとき)
$$
\left\{
\begin{array}{l}
x=\theta – \sin \theta \\
y=1 – \cos \theta
\end{array}
\right.
$$
だから、1つめのグラフの横軸は$$\theta$$、縦軸は$$x$$になっている。
あ、ホントだ…
でも、何でこんなグラフを書いたんですか?
まあまあ。とりあえず、tの値を1つ決めてみよう。例えば$$t=1$$とする。
そうすると、2つのグラフから、xとyの値がそれぞれ1つずつ決まる。
$$x=0.15$$くらいで、$$y=0.5$$くらいですよね。
うん。そうだね。そして、それをx-yグラフの上に書く。
あ、わかった気がします。tを変化させるごとに、2つのグラフから(x,y)の組み合わせの値が決まります!
そうそう、それで?
決まった(x,y)の組み合わせをx-yグラフの平面上に書いていって、できる曲線が、サイクロイドってことですよね?
うん。ご名答!そのとおりだ!
媒介変数を用いた図形
媒介変数表示を使うと色んな図形が描けるんだ。
アステロイド
$$
\left\{
\begin{array}{l}
x=a\cos^3\theta \\
y=a\sin^3\theta
\end{array}
\right.
$$
カージオイド
$$
\left\{
\begin{array}{l}
x=a(1+\cos\theta)\cos\theta \\
y=a(1+\cos\theta)\sin\theta
\end{array}
\right.
$$
うわー!こんなに変わった図形が描けるんですね。
そうだよ。実はね、あの遊具も変わった図形を描くんだ。
どういうことですか?
子どもがあの遊具の重りに乗って勢いをつけると、色んな方向に動くよね。その動きが媒介変数で表される面白い形になっているんだよ。
そうなんですか!ランダムに動いていると思っていました・・・。
僕も最初はそう思っていたよ。でもね、物理で単振動って習うでしょ?実は、あの重りは垂直な2方向の単振動が組み合わさった動きをしているんだ。
ちょっと待ってください。(単振動ってなんだったっけ…)
単振動って何だったか忘れちゃったのかな?
え・・・。なんでわかったんですか??
顔に書いてたよ(笑)。単振動はね、簡単に言うと、ある一点が同じ速さで円を描くように動いているときに真横から光を当てた物体の影の動きのことを言うんだ。
イメージはこんな感じ。
うーん。簡単に言うとって言ってますけど僕にはわかりにくいです・・・。この影の動きは行ったり来たりする往復運動になるんですよね?
わかっているじゃないか。その通り。あの遊具はこの往復運動を垂直に十字のように組み合わせた動きをするんだよ。
確かに、横方向と縦方向の運動を組み合わせていますね。
うん!こんな風に、2つの単振動を組み合わせた動きが描く図形を「リサージュ図形」って言うんだ。
リサージュ
$$
\left\{
\begin{array}{l}
x=A(\cos at) \\
y=B(\sin(bt+\theta))
\end{array}
\right.
$$
リサージュ曲線($$a=3,b=2,A=B=\theta=0$$)
わあ!
さらに、この$$a,b,\theta$$の値を変えると、同じリサージュ図形でもこんな風にいろんな形に変わるんだ。
なるほど!そういえば、リサージュって変わった名前ですけど、何か由来があるんですか?
いや、1855年にフランスの科学者のJ.A Lissajousが考案したからこの名前になったんだよ。他にも、「リサジュ」「リサージュ」「リサジウ」などの色んな呼び方があるんだ。
へー。豆知識が増えました。
それにしても、こんな近くに数学があるんですね。
そうだよ。数学は僕たちの日常の様々なところに散らばっているんだ。
あ!講義で行き詰っていたところが分かったぞ!早速図書館に行って紙に書いてみよう!じゃあまたね、ゆう。
では、また、ぽんさん。何だか僕もモチベーションが上がってきたぞ!家に帰って宿題をするぞ!