- 昔は「エジプト数字」や「ローマ数字」といった数字が使われていました。
- 現在使われている「アラビア数字」は、位取り記数法という技術が使われています。
ぽんさん!よく昔の時計とかって、英語みたいな数字書いてあるじゃん?
あれなんなの?
ゆう、なにか知ってる?
「ローマ数字」ですねよ?
ローマ数字?
うん。ローマ数字は、数字の1を「I」で表して、数字の5を「V」で表すんだ。
へー!
さすが、よくしってるね。
ちなみに10は「X」で表す。100は「C」だ。
そうなんですね。
「I」や「V」などの数字をローマ数字って言うんだけど、
じゃあ俺たちが普段使っている、「1」や「5」などの数字をなんていうか知ってる?
いや、知らないです。
正解は「アラビア数字」というんだ。
アラビア数字は、7世紀頃にインドで誕生した数字だ。
同じ数字なのに、その表し方がいっぱいあるっておもしろいね。
ところでさ、「ローマ数字」って、ローマ人が考えたの?
そう!紀元前3000年ごろに、古代ローマ人が使い始めたのが発祥と言われている。
えーそんな古いの!?
そうだよ、数の歴史を遡ると、とても面白い。
じゃあ、せっかくなので、「数」の歴史について見ていくことにしよう。
天空を支える数字「1000000」
まず皆さんに紹介するのが「エジプト数字」だ。
紀元前3000年ごろに、古代エジプトで使われていたと言われている。
どんな形をした数字なんですか?
とてもおもしろいよ。こんな形をしている。
なにこれ、ただの落書きじゃん(笑)
いやいや、これが昔のエジプトでは、真面目に使われてたんだよ!
なんかおもしろいね!
気になるんですけど、1000000を表している、人間みたいなのは何ですか?
これは、人間じゃなくて、「ヘフ」という天空を支える神様を表している。
あまりにも大きな数を表すときに、偉大な存在である神様のマークを使ったんだ。
そうなんですね。
じゃああかりに問題!
え、なに?
「124」をエジプト数字で表すといくらになるでしょう?
え、うーんと。
このエジプト数字、どうやって使えばいいの?
ヒントは、124は100+10+10+1+1+1+1だ。
あ、そっか、組み合わせればいいのか。
こんな感じ?
そう、正解!
じゃあ、ゆうに問題だ!
はい。
「9591946」をエジプト数字で表すと?
え、ちょっと待って下さい。
なんか嫌な予感しかしないんだけど…(笑)
5分後
やっと終わりました。
おお、おつかれさま!
うわっ!キモい!(笑)
昔の人って、数字を書くだけで、こんなに大変だったんですね。
そうだね。昔の数字を使うと、大きな数を表すのがとても大変なんだ。
でも、いま俺たちが使っているアラビア数字は、大きな数でもとても簡単に書けるよね。
確かに。「9591946」と書くだけです。何でですか?
それは、アラビア数字が「位取り記数法」という方法を採用しているからなんだ。
くらいどりきすうほう?
そう。
でも、アラビア数字と、その位取り記数法の説明をする前に、最初にあかりが言ってた「ローマ数字」も見てみよう。
ローマ数字の4,5,6辺りの不思議
ゆうは、ローマ数字を1から書ける?
はい、こんな感じですよね?
おお、さすが!
あかりもこれぐらいは分かるよ!
ちなみに、ローマ数字で使う記号をまとめるとこんな感じだ。
へーこんないっぱいあるんですね。
ところで、一つ疑問があるんですけど。
?
1は「I」、2は「II」、3は「III」じゃないですか。
なんで4は「IIII」じゃなくて「IV」なんですかね?
その、わざわざ5を表す「V」を持ってくる理由がよくわからなくて…
おお、いいところに気がついたね。
それは、ローマ数字が生まれた経緯を考えると分かる。
実はローマ数字は、古代ローマ人が羊を数えるのに利用したのが、始まりと言われている。
ローマ人が羊をオリの外に放牧に出すときに、オリから羊が何匹出て行ったかを数える必要があった。戻ってくるときに数が足りてないと大変だからね。
うんうん。
そこで、ローマ人は木に切り込みを入れることにしたんだ。当時は紙も無かったからね。
羊が1匹出ていくごとに、切り込みを1つ入れていった。
でも、ただ切り込みが並ぶだけだと何匹出て行ったのかわかりにくい。そこで、5匹目の切り込みには「V」のような切り込みを、10匹目の切り込みには、「X」のような切り込みを入れたんだ。
絵にするとこんな感じだね。
あ、なるほど。確かに5ずつ印を変えたほうがわかりやすいですね。
で、ここから、4は「IV」、6は「VI」という風にして、ローマ数字が誕生したんだ。
へーおもしろい!
なるほど、そんな歴史があったんですね。
ところで、さっきゆうが、エジプト数字で「9591946」を表したよね。
あ、あのキモいやつね!
ってことはまさか?
じゃああかり、ローマ数字で「9591946」を表してみよう!
うぇぇ〜
と言いたいんだけど、さっき見てもらったとおり、ローマ数字では1000以降の数を表す単位がないんだ!
よかった…
なので、さっきあかりがエジプト数字で書いた「124」ぐらいにしておこう。
それぐらいならすぐだよ!
えっと、124は、100+20+4だよね。
…
じゃーん!こんな感じでしょ!
おっ、完璧だ!
アラビア数字と位取り記数法
じゃあ、最後は、やっと皆が知っているアラビア数字を紹介しよう!
1,2,3,…ってやつだよね!
そうだよ。これならあかりもわかるよね!
うん。いつも使ってるもん。
実は、この「アラビア数字」には、エジプト数字やローマ数字には無いある特徴があるんだ。
最初の方に言ってた「位取り記数法」っていうのですか?
そう。この位取り記数法のおかげで、アラビア数字は爆発的に世界中に広まったんだ。
ところで、アラビア数字って、中東のアラビア半島で生まれたんですか?
いや、それが、アラビア数字の発祥は実はインドなんだ。
え、じゃあインド数字じゃないの?
実は、アラビア数字がインドで生まれた後、アラビア半島を経由して、ヨーロッパに普及したんだ。
だから、ヨーロッパの人たちにとっては、この数字はアラビア半島からやってきた「アラビア数字」だったんだ。
あ、だから、「アラビア数字」という呼び方が、ヨーロッパから世界中に広まってしまったんですね。
そう、そのとおりだよ。
なんかインドの人かわいそうだね〜
うん。確かにそうだね。
話を位取り記数法に戻そう。
アラビア数字が採用したこの「位取り記数法」は、ある特徴がある。
それが、数字を入れ替えると、違う数字になってしまうということだ。
?
?
あの、よくわからないよ?
だよね(笑)
ここに、「エジプト数字」「ローマ数字」「アラビア数字」で書かれた「124」という数字がある。
あかりが書いた124だね!
そう、ここで問題だ。
それぞれの数字の最初の文字と、2番目の文字をひっくり返すと、どうなるだろうか。
ひっくり返すとこうなる。
え、そんな、ひっくり返したら数字変わるんじゃないの?
ほんとに?(笑)
いや、「エジプト数字」と「ローマ数字」は、ひっくり返しても数字は変わってません。
え?
ひっくり返す前は、エジプト数字は100+10+10+1+1+1+1で124でした。
でも、ひっくり返した後も、10+100+10+1+1+1+1で124です。
そう!よく気付いたね!
あ、ほんとだ!ローマ数字も、100+10+10+4か、10+100+10+4かの違いだから、表してる数字は変わってない!
そうなんだよ!位取り記数法を採用していない数字は、文字をどの場所においても、表す数字は変わらないんだ!
でも、アラビア数字で1と2をひっくり返すと?
124と214なので、ぜんぜん違う数です!
よくできました!
アラビア数字は位取り記数法を採用しているので、文字をひっくり返すとぜんぜん違う数字になってしまう。
ほえー。「数字ひっくり返したら違う数になる」なんて当たり前だと思ってたけど、それって「位取り記数法」のせいだったんだね!
そう、位取り記数法を使って無ければ、数字をひっくり返しても違う数にならないんだ。
でも、なんでアラビア数字は位取り記数法を採用したの?
お、良い質問だね。
その答えは、ローマ数字を見るとわかりやすい。
もう一度、ローマ数字で使われている記号一覧を見てみよう。
じつは、ローマ数字では1000より上の数を表す記号が存在しないんだ。
ということは、10000とかは、ローマ数字では表せないんですか?
その通り。ちょっと考えれば分かるんだけど、ローマ数字を使って表せる最大の数は、3999だ。
それ以上の数を表そうと思ったら、5000を表す新たな記号が必要になる。
うん、それはわかるよ。
エジプト数字も同じで、最大の数字は、神を表した1000000だった。なので、エジプト数字を組み合わせて作ることができる最大の数は、9999999だ。それ以上の数を表すときには、10000000を表す新たな記号が必要になる。
じゃあここで問題だ。
位取り記数法を採用したアラビア数字が表せる最大の数はいくらだろう?
え、えっと…
1億は100000000ってかけるし、1兆も1000000000000って書けるよね…その上ってなんだっけ?
その上は「京」だけど、1京もアラビア数字で書けるよ。
ってことは…?
そう、アラビア数字を使えば、どんな大きな数を表現することもできる。
おお、すごい!
しかも、エジプト数字やローマ数字は、大きい数を表すためにはその分の新しい記号を用意する必要があった。
でも、位取り記数法を採用したアラビア数字は違う。どんな大きい数字でも、0から9のたった10個の文字を使うだけで表現することができるんだ!
おお!
ちなみに、アラビア数字は0から9までの10種類の文字を用いる位取り記数法なので「10進数」と呼ばれている。
「◯進数」って、聞いたことある気がする!
コンピュータやITの世界では、計算上の都合から、2種類の文字を使った位取り記数法である「2進数」や、16種類の文字を使った位取り記数法である「16進数」が活用されている。
位取り記数法って、アラビア数字以外でも、色んな所で活用されてるんだね!