- 微分方程式は「変化の様子」を表現する方程式です。
- ある現象に対して、影響を与える要因を考え、数学で表現することを「数理モデル」化すると言います。
- 「数理モデル」は非常に広範囲の分野に対して考えることができます。
前に、ツイッターのトレンドの話をしたよね?
ツイッターのトレンド・・
ああ、ツイッターのトレンドに微分が使われているという話ですね!
そうそう、その話!
実はまだツイッターのトレンドの話で面白そうなネタがあることがわかってね。
しかもこれまた「微積分」が関係している。
まだあるんですか!
気になりますね。
今回の場合は、「何が」トレンドになるかじゃなくて、「どのように」トレンドになるかという話だ。
この2016年の前半部分で、社会的に話題になったニュースはもちろんツイッターでもトレンドになったりしている。
そのトレンドの「ツイート数」の推移のグラフをゲットしたんだ。
といっても、抽出によるものでこれはツイッター全体の動向とは必ずしも一致しないかもしれないが、まあかなり影響力のあるニュースを選んでるからおおむね一致すると思う。
? わかりました。
さてじゃあ1月のものを見てみようか。
いわゆる「ベッキー騒動」で「ベッキー」がトレンド入りしたときのツイート数の推移だ。
同じく1月、「SMAP解散騒動」で「SMAP」がトレンド入りしたときのツイート数。
あー、確かに話題で持ちきりでしたもんねー
ちょっと懐かしいですね笑
これは3月に、元プロ野球選手の清原さんが一時釈放されたときのツイート数。
画像出してみて思ったけど、SMAPの縦軸は数値がかなり大きいな・・
いかに影響が大きかったか分かる。
それで、ツイート数の推移がどうかしたんですか?
実はツイートがどのようにトレンドになっていくか、これにはある程度規則性がある。
そして、その規則性は数学を使って説明ができるんだ。
それって未来予知みたいなことができる、ってことですか?
まあ、やろうと思えばそういうこともできるかな
トレンド入りって?
ゆう、「トレンド入り」するってどういうことなんだろうな
ぼくはそれほどツイッターは詳しくないんですが・・
まあトレンド入りというか、「人気になる」ってどういうことだろうなって感じだな
うーん・・
たくさんの人がツイートしているようなことだったら、僕も興味をもってツイートしたりするかなあ・・
そうだな。
自分のタイムラインの人の多くがツイートしているようなことであったら、自分も興味を抱いてツイートしてみる気が起こってくる。
1人、2人程度ならそんな気も起きないだろう。「みんながやっているからやってみるか」の精神だな。
なんか日本人らしいですね。
さて、「みんながツイートしているからツイートしてみるか」の精神でいくと人気のキーワードについてツイートする人がひたすら増えていくことになる
そうすると、1度トレンドに入ったら永遠にトレンドに残り続けることになる。
けど、実際はそんなことはない。なんでだと思う?
うーん・・
やっぱり、どこかで「飽き」がくるんじゃないですか?
そう!そうなんだよ。
ある程度の数までは増加し続けるが、そういつまでも増加し続けない。
どこかで頭うちになる。どこかで飽きがくる。
と、いうことで「トレンド入り」するということは・・
「みんながやっているからやってみるか」という形で爆発的に伸びていくが、「飽きた」という気持ちで頭打ちになる・・・
そういうプロセスのことともいえる。
なんかそういわれるとあまりかっこよくないですね・・。
まあいいじゃないか。
「トレンド入り」を数学で表す
さて、じゃあこれを数学の言葉で表現してみよう。
「トレンド入り」を、ですか?
あるキーワードのツイート数を$$y$$としよう。
ツイート数は時間で変化するので、ツイート数$$y$$は時間を表す文字$$t$$の関数だ。
じゃあ、$$t$$に何か数字を代入すればツイート数が分かる!というわけですね。
そうなる。
今から考えたいことは・・
ある時間$$\Delta t$$の間の、ツイート数の増加数$$\Delta y$$を数式で求めてみたい。
おおー。
難しそうですけど、なんだか夢がありますね。
少しずつ考えていけば大丈夫さ。
まずは、「みんながやっているからやってみるか」の精神を数学で表してみよう!
いきなり難しそうですね・・
いやあ、こっちはまだマシだぞ。
ツイート数が多ければ多いほど、みんなツイートするだろ?
そうですね。
ということで、おおざっぱに、ツイートの増加数は、そのときのツイート数に比例するということにしよう。
ツイート数$$(y)$$1000のときより2000のほうが、伸び$$(\Delta y)$$も2倍というわけですね。
そうなるそうなる。
比例なら式で表せるだろう。ひとまず$$\Delta y$$を表してみよう。
比例の式は、$$y=ax$$ですから、この場合は・・$$\Delta y =ay$$ですか?
$$a$$は比例定数で。
さすがゆう!その通りだよ!
さて、そういうわけで「みんながやっているからやってみるか」は数学で表現できたわけだが・・
次は「飽きた」を数学で表すんですね!
そうなる。こっちのが難しそうだな・・
「飽きた」ということはどこかで限界が来るということ。
その限界を$$N$$としよう。
この$$N$$を式に使うことになるわけですね。
そうそう。これを使って「頭打ち」を表現できれば良いことになる。
ゆう、ツイートのトレンドに限らず、「流行」とかっていうのはさ・・
途中までは爆発的に広がる勢いがあるが、どこかでその勢いも衰えてくる。
そして頭打ちになる、と・・
ということは、「頭打ち」というか「限界」に近づくにつれて勢いも衰えてくると言っても良さそうだ。
はい、そうですね。
なので、ツイートの増加数は、限界までの残りにも比例するということにしよう。
限界ポイント$$N$$から遠ければ遠いほど、増加数も多いということになりますね。
比例なのでこれも式で表せる。
えっと・・さっきと同じように考えれば・・
比例定数を$$b$$として、$$\Delta y=b(N-y)$$ですか?
そうだね!
これで、「飽きた」という気持ちも数学で表せた。
「みんながやっているからやってみるか」と「飽きた」でトレンド入りが表せるから、さっきの2つを合体させて・・
$$\Delta y=ay(N-y)$$がツイートの増加数の式だ。
あれ?$$b$$はどこにいったんですか?
$$a$$も$$b$$も比例定数だからまとめて$$a$$にしといたよ。
なるほど。
あと、$$\Delta y$$はある時間$$\Delta t$$の間のツイートの増加数としていた。
この時間の幅$$\Delta t$$が大きいほど、$$\Delta y$$も大きいだろう。
30分間でのツイートの増加数より、60分間でのツイートの増加数が多いだろう・・ってことですね。
そういうこと。
なので、$$\Delta y=ay(N-y)\Delta t$$となる。
最終的にかなりごちゃごちゃしましたね・・
まだ続きがあるんだな。
さっきの式の両辺を$$\Delta t$$で割ると・・
ゆう、$$\displaystyle\frac{\Delta y}{\Delta t}$$って何を表していると思う?
$$y$$は$$t$$の関数でしたよね・・
変化の割合・・傾きを表すと思います。
まあそうだね。数学Ⅱで言うところの平均変化率だ。
それで、$$\Delta t$$を0に近づけるとどうなる?
計っている時間が短くなるってことですよね・・時間を限りなく短くする・・
そして$$y$$は$$t$$の関数・・$$\displaystyle\frac{\Delta y}{\Delta t}$$は平均変化率だから・・
時間を限りなく短くすると瞬間的な変化率が分かるはず・・
それって?瞬間的な変化率とは何だろう?
導関数・・つまり$$\displaystyle\frac{dy}{dt}$$ですか?
すごい!よくここまで考えれたじゃないか。
そう、$$\Delta t$$を0に近づければ、左辺は$$\displaystyle\frac{dy}{dt}$$となって
導関数$$\displaystyle\frac{dy}{dt}$$が式の中に出てくる方程式なので、こういった方程式を微分方程式という。
それで、今考えたみたいに、ある現象に対して、変数を決めて数式化することを「数理モデルを作る」とか言ったりする。
微分方程式・・そういえば数学Ⅲの教科書にちらっと書いてましたね。
微分方程式は関数についての方程式なので、関数が解として出てくる。
ここまでをまとめておこう。
人気のあるキーワードのツイート数予測
「みんながやっているからやってみるか」・・ツイートの増加数は現在のツイート数$$y$$に比例
どこかで飽きが来る・・ツイートの増加数は限界値を$$N$$として$$N-y$$に比例
これらを組み合わせて、ツイート数の関数についての微分方程式
$$\displaystyle\frac{dy}{dt}=ay(N-y)$$
が求まる。
次はこの「微分方程式」を解いてみるぞ!
続きはこちらから…
Twitterのトレンドまで!? 微積分で「変化の様子」が表せる!(後編)