- モンティ・ホール問題に代表されるように、確率の問題では直観とは異なる答えが出てくることもあります。
- 「同様に確からしい」とは、「その事象が起こる確率に偏りがない」ことを保証しています。
- 「同様に確からしい」ときで、場合の数が少ないときは数え上げで確率を求める戦略も有効です。
あかりー
ぽんさんだ!今日はどうしたの?
『今後5年の流行がすべてわかる本』ほしくないか?
なにそれ!?
名前の通りさ
これから5年ではやるものが書いてある
流行語大賞の予測も付録でついてるぞ
す、すごい・・!
ほしいです、ぽんさん!
いや、あまりにもうさんくさすぎるでしょ・・
お、ゆうもいたのか
はい
大学の友人に、毎年夏と年末に東京のほうに行くやつがいてな
毎回おみやげに変わった本をくれるんだよ
それで、今回はこの本だったというわけなんだ!
うん。
この本、なんでもビッグデータやディープラーニングがどうのこうので・・
とりあえず、結構すごいらしいぞ
ほしくないか?
ほしい!ほしい!
そういわれると、興味があります
よし、じゃあ今からゲームをしよう
俺にゲームで勝ったらプレゼントということで
ぽんさん、後輩にタダでゆずらないなんて心せまいよ・・
まあいいじゃないか。
大学生のヒマつぶしに付き合ってくれ
ヒマなんですね・・・。
ゲームのルールは簡単!
ここに紙コップが3つある
A,B,Cと名前を書いておいた
お前たちに見えないように、適当にどれかのコップに100円玉を入れてひっくり返す
どのコップに100円玉が入ってるか選んでくれ
ただの運任せゲームじゃないですか!
ここまではな。
大事なのはここからだぞ。
選んだあとに、選ばれなかった2つのコップのうち、はずれのほうを発表する。
それを聞いたうえで、最後の選択だ。
100円玉が入っているのは、今残っている2つのコップのうちどちらか
最初に選んだものをそのまま選んでもいいし、もう片方に選択を変えてもいいぞ
なるほど・・
ということは、結局二択で選ぶんですね。
はずれのほうを発表する。とのことでしたが、両方はずれならそういってくれるんですか?
いや、その場合は適当に決めるさ
ランダムにな
うーん・・??
ぽんさん、あたまがこんがらがってきた・・
ルールをまとめるとこんな感じだ
ぽんさんのゲーム
紙コップA,B,Cのどれかに100円玉が入っています。100円玉が入っている紙コップを「最後に」選べば勝ちです。
(1)プレイヤーはA,B,Cの1つを選びます。
(2)ゲームの親(ぽんさん)は、「プレイヤーが選ばなかったコップ2つ」のうち、はずれのものを除外します。もし両方ともはずれの場合は、ランダムにどちらかを除外します。
(3)3つのコップから1つが除外されたので、残っているコップは2つです。100円玉が入っているコップを選んでください。最初とは別のコップを選んでもかまいません。
うーん・・?
ぽんさん、例を出してくれるとわかるかも!
よし、じゃあこの「コップA」をあかりが選ぶとしよう
けど、実際100円が入ってるのはコップBだとする
あかりが選んだのはAのコップだから、俺はBとCのコップのうち、はずれのほうを教える
当たりがBなんだよね
じゃあ、ぽんさんはCがはずれって教えてくれるってこと?
そうそう
Cがはずれといったあと、再びあかりが考える番だ
この場合だと、最初選んだAのコップから、Bのコップへと選択を変えると当たりになる
絵で描いてみるとこんな感じ
なるほど!
じゃあ、あかり、ゆうの順番でやってみるか!
わかりました。
5分後(みんなもやってみよう)
・・・
・・・・・
まさか2人とも外すとはなー。
残念でした!
まあ、運がなかっただけのことですよ
でも、ちょっとへこみますね・・つらい
ぽんさん、何かトリックしてるんじゃないの?
タネは何?もちろんこれから教えてくれるんだよね?
いやいや、トリックとかじゃないよ
公正公平真剣真面目にやったさ
そうなんだ
それで、だ
2人とも最初の選択を変えなかったな
俺としては、その理由を知りたいんだな
あかり、教えてくれ!
えっ、だって・・
だって?
最初これだって自分で決めたのに、もしそれを変えてはずしたらめちゃくちゃダサい!
私はAのコップのこと信じてたのに・・
そ、そうか・・
・・・
ゆうはどう?
だってこのゲーム、変えることに意味はないでしょう
と、いうと?
最初に100円玉を適当にコップに入れるんですよね?
なら、どのコップも当たりやすさは同じです。
1個外れのものがなくなりますが、もともと当たりやすさは同じだったのだから、影響はない
なくなったあとははずれが1個と当たりが1個、それぞれが当たる確率は同じ
なので変えても変えなくても同じです。
当たる確率は $$\displaystyle\frac{1}{2}$$ です。
あかりは変えずにはずして、2回に1回は当たるのだから今度は当たるはずだ、と思って変えなかったんですが・・
外してしまったな
まあ、結局は運ですよ
確かにこのゲームに「必勝法」はないが・・
最後の選択を「変える」ことで「変えない」ときよりも当たる確率が2倍になる
って言われたら、信じられるかな?
にっ、2倍・・・
それがトリックだったのかー!
タネを教えてよー
マジックではないと思いますが・・
でも理由が気になります。
じゃあタネ明かし・・じゃないが理由を話そうか
アメリカ中が熱狂した「モンティ・ホール問題」って?
その前に紹介しておきたいことがあって、実はこのゲームは有名なゲームなんだな
100円隠してるだけなのに?
このゲームのオリジナルは100円じゃなくて車を隠してる
当てたらその高級車がもらえる
すごい太っ腹だ・・
景品が違う以外は、さっきの100円玉ゲームとほぼ同じルールだ
3つのコップじゃなくて3つのドアがあって
どれかのドアの後ろに高級車があるので、それを当てる
アメリカのテレビ番組で’Let’s make a deal’というのがあったらしくて、そこでやっていたゲームをアレンジしている
‘Let’s make a deal’・・「取引しましょう」ですか
番組に出てくる挑戦者がゲームのプレイヤーで、番組司会者のモンティ・ホールがゲームの進行をする。
じゃあ、挑戦者が3つのドアのうち、ドアを1つ選んで、司会者がはずれを教えて、挑戦者は車のあるドアを選ぶという流れになるんですね
そうそう
それで、「最初にした選択を変えることで車を当てる確率は上がるのか」・・というのが気になってくる
これがモンティ・ホール問題
ふーん
結局、テレビでやってたから有名なゲームなんですか?
いやちょっと違う
この「モンティ・ホール問題」がめちゃくちゃ有名になった
どれくらい有名になったの?
アメリカのニューヨーク・タイムズというメジャーな新聞の一面を飾るくらい
100万人くらいがこの問題を目にしたことになる
それはすごい・・
別にみんなが車をもらえるわけじゃないのになんで新聞に載ったんですか?
世界一のIQをもつとしてギネスに載っているマリリンという女性がいてね
読者からの質問に答えるコラムをある雑誌でやっていたんだけど・・
その中でこの「モンティ・ホール問題」が質問された
マリリンは変えたら当たる確率が2倍になると結論した
ええー
多くの読者が「そんなはずはない」と反論の手紙をマリリンに送る
それも、マリリン本人を非難するような怒りがこめられたものも結構あったらしい
さらに、数学の研究者までもが間違っていると断言する手紙を送っていたんだ
「炎上」しちゃったのね・・
ところがマリリンは意見を変えない。
しまいにはニューヨーク・タイムズの一面で「モンティ・ホール問題」が解説された。
すごい騒ぎになったわけだな
結局、マリリンさんの言うとおり、変えれば当たる確率は2倍になるんですよね?
そうなる。
数学的にきちんとした論証でも示せるし、学校の授業で実験したり、コンピュータでシミュレーションもされていて正しいことが分かっている。
でもかなりの人が違うと思って手紙を送ったんだ・・
確率の話になると、直観に反する答えが出てきたりすることはめずらしくない
モンティ・ホール問題はまさにそういったものだった
まあ、そういう意味では「トリック」かもね
というわけで、「トリック」のまやかしを破る必勝法を伝授しよう!
タネ明かしだね!
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クイズ番組発!100万人が考えた確率の問題!(解説編)