- 因数分解は、間接的に私たちの生活の根底を支えています。
- 展開公式は、平面図形や立体図形の問題として考えることができます。
えーぷらすびーのにじょういこーるえーのにじょうぷらすにーえーびーぷらすびーのにじょう…
展開公式かな?
中学校の復習だよぉぉ!
まさか高校数学でも、中学でよくわからなかった、あの展開や因数分解が出てくるとは…
ぶっちゃけ、中学校の時もよく分かってなかったんだよね!!因数分解!!
おぉ、それは大変だ(笑)
「因数分解が何の役に立つんだよぉぉ!!!」って叫んでる人、よく見かけるよね〜
まあ、あかりもすごく叫びたいんだけど!(笑)
うーん。実生活で因数分解が直接的に役に立ってる例は、すぐには思い浮かばないなぁ…
えーじゃあ勉強しなくていいじゃん!!
いや、「直接的に役に立ってる例が思いつかない」と言ってるだけで、縁の下の力持ちとして、生活の根底を支えているんだよ!
ふ〜ん。例えば?
例えばさ、あかりは足し算は小学生で習ったよね。
当たり前じゃん!さすがにそれくらいはできるよ!!
じゃあ、足し算できない人の気持ちになって考えてみてください。
ある家族が、引っ越しをします。
今使ってる机が新しい部屋に入るかどうかチェックするために、机の長さを測ることになりました。
足し算ができない子どもに、 30センチ定規を渡して、「ちょっと机の長さ測ってきてよ」とお願いしました。
測ったら、こんな感じでした。
絵がへたくそでごめんね。
どう見ても80センチだよねー
うん。まあそうなんだけど、この子どもなら、なんて答えると思う?
えっ!足し算ができないんだよね…
「30センチと、30センチと、あと20センチ!」とかかな?
うん。多分そうなるよね。
でも、今俺たちは足し算を知ってるから、「30センチと、30センチと、20センチ」と答えるより、「80センチ」と答えるほうが便利だし、簡単なことを知っている。
当たり前だよー
80センチ!といったほうが、分かりやすいもん!
じゃあ因数分解に戻ろう。
例えば、物理の問題を解いているとしよう。
大学で習う物理はすごく難しくて、数式ばっかりだ。
うぇぇ…物理の問題…?
いや、問題を解くわけじゃなくて、例だから、安心してね〜
問題を解いていて、無事に答えが出たとしよう。
その答えがこんなのだったらどうする?
$$\displaystyle \frac{2x^2+y^2+3xy+5x+3y+2}{2x+y+1}$$
うぇぇー意味分かんない!式がちょー長いじゃん!!
と思うじゃん?でも、こういう答えを書く人は、因数分解を知らない人だ。
因数分解を知っていたら、こんなふうに書ける。
$$\displaystyle x+y+2$$
あれ?これだけ…?
うん。さっきと同じ意味だ。
足し算を知っていれば「30センチと、30センチと、20センチ」と言わずに、「80センチ」といえた。
それと同じように、因数分解を知っていれば、一見難しそうに見える式も、簡単になる場合があるんだ。
「30センチと、30センチと、20センチ」
↓【足し算を学ぶと…】
「80センチ」
$$\displaystyle \frac{2x^2+3xy+y^2+5x+3y+2}{2x+y+1}$$
↓【因数分解を学ぶと…】
$$x+y+2$$
ほええ〜
だいぶ簡単になったでしょ!
簡単にすれば計算がしやすくなる。計算がしやすくなれば、どんどん新しい技術や商品を作ることができる。
因数分解は「直接的には」使われてないかもしれないけど、こうやって影でいろんな技術を支えているんだ。
なるほど!ちょっとだけ納得!
展開公式は図形の問題?
ところで、初めにぶつぶつ言ってた展開公式、覚えれた?
覚えるのはなんとか覚えてるよ。でもね、なんか丸暗記して使ってるだけみたいな感じで、
イマイチ、こう、「心の底から納得したぞ〜!!!」という感じじゃないというか…
うーん…
なんかね、図形の問題ってあるじゃん。あれは楽しいんだよ!
絵みたいなの書いて、色んな所の長さ求めたりするの!
でもさ、展開って、式の問題じゃん。絵書けないじゃん。
絵を書いて、この部分の長さを求めよ!とかならいいのに、
問題用紙に式だけ書いてあって「以下の式を展開しなさい」とか、もう意味分かんないよね!!!
なるほど、あかりは頭のなかでイメージできる問題が好きなんだね。
でも、展開公式って、図形を使って求めることもできるよ!
…えっ!えええ!!
$$(a+b)(c+d)$$とか、どうやったら図形の問題になるの??
なるんだなーそれが!
例えばね、こんな図形を見て欲しい。
この四角形全体の面積はいくらかな?
えっ!面積の問題…?
えーっと、、四角形の面積は縦かける横だよねー
それで、縦が$$a+b$$、横が$$c+d$$だから、面積は$$(a+b)\times(c+d)$$!!
$$\times$$は省略した方が、かっこいい?
省略すると、$$(a+b)(c+d)$$だね!
おおっ、なんか「展開して下さい」って感じの式が出てきた…
確かに(笑)!
では、左上の緑の四角形の面積はいくらかな?
縦かける横で、$$ac$$!
簡単かんた〜ん!
じゃあ、右上の水色は?
$$ad$$だね!
じゃあ、次は…
わかってるよ。どうせ左下と右上でしょ?
左下のオレンジの四角形は$$bc$$で、右下のピンクは$$bd$$!
でも、これがどうしたの??
いま、バラバラにした4つの四角形の面積をそれぞれ求めたが、それらを足すと元の四角形の面積になる。
うん。そんなの当たり前じゃん!
…なにか気付かない?
え、何か…?うーん…
最初に求めた全体の四角形の面積って、$$(a+b)(c+d)$$だったよね?
うん。そーだけど…
そしてね。
バラバラにした4つの四角形の面積を足し合わせるといくら?
ああっ!!!!
そうか!!
4つの小さい四角形を足しあわせた面積は、$$ac+ad+bc+bd$$だよね!
で、これと、もとの大きな四角形の面積がおんなじだから、
$$(a+b)(c+d)=$$
$$ac+ad+bc+bd$$だ!!
$$(a+b)(c+d)=ac+ad+bc+bd$$
展開公式(1)
(全体の面積)$$=$$(4つの四角形の面積の和)
すごい…面積の問題から展開公式が出てきた…
ね?図形の問題になったでしょ??
これなら直感的に分かりやすい!!
なんか、よく分かってなかった展開公式の意味が、心のなかにストンと落ちてきた気がする!
そう言ってもらえると嬉しいよ!
ついでに、こんな図形を考えてみよう
同じ考え方だよね!あかりがやってみる!
まず、全体の面積は、縦も横も$$a+b$$なので、$$(a+b)\times(a+b)$$です。
$$\times$$を省くなら、$$(a+b)^2$$です!
おおっ!今後は$$(a+b)^2$$の展開公式かなー?
うんうん。それで??
はい。個々の四角形は、それぞれ$$a^2,ab,ba,b^2$$です。
これらを足し合わせると,$$a^2+ab+ba+b^2=$$
$$a^2+2ab+b^2$$です!
おお!おおお!!
最後までちゃんとやろうか…(笑)
はい!
今求めた、4つの四角形の面積の和と、最初に求めた全体の面積が等しいので、$$(a+b)^2=a^2+2ab+b^2$$です!!
$$(a+b)^2=a^2+2ab+b^2$$
展開公式(2)
(全体の面積)$$=$$(4つの四角形の面積の和)
正解!完璧だね!
いままで「展開」とか「因数分解」って聞くと、式ばかりでイメージがつかみにくいなーと思ってたんだけど、
こうすると、図形の問題みたいで楽しいね〜!
そうだね!問題に対していろんな見方をするというのかな。
そういう考え方は、数学においても非常に重要だ。
学校の数学の授業では、章ごとに内容を扱うよね。
平面図形の章なら平面図形だけ、展開の章なら展開だけしか扱わない。
でも、本当の数学の世界では、今回のように、式の問題と図形の問題が繋がったように、様々な分野が密接につながっていることも多いんだ。
何人もの数学者が解こうとしても全然解けない、ある数学の分野の超難問が、実は別の分野の数学とつながっていて、その分野に持って行くと、あれだけ難しかったはずの問題がすんなり解けちゃう、みたいなこともありえるんだ。
まさに、今回の、「式の展開」という問題を、図形の「面積」の問題として考えたようにね!
ふむふむ…
なんかそう考えると、数学って奥深そうだね…
ちなみに元の話に戻るけど、工夫すれば、$$(a-b)^2$$や、$$(a+b+c)^2$$の展開公式なんかも、平面図形にして求めることができるよ。
あと、面白いのが$$(a+b)^3$$の展開公式だ。
これは「面積」の問題ではなくて、「体積」の問題として考えられる。平面図形じゃなくて、立体図形だね!
ひぃぃ…式の展開の問題に立体図形まで出てくるなんて、すごいね!
ちょっと考えてみるよ!
おっ!じゃあ、ヒントだけおいておこう。
頑張って、図形からいろんな展開公式を導いてみてね!