東大入試も解ける!?中学生の知識で円周率を求めてみよう!


要点チェック!
  • 無理数の代表的な例が円周率です。
  • 大学入試では、「円周率を求めよ」という問題もいくつか出題されています。
  • 円周率は、概算ならば中学生の知識でも求めることができます。

無理数と有理数の違いは言えるかな?

$$2$$や$$5$$のような自然数や、$$\displaystyle \frac{3}{4}$$などの分数が有理数だったよね!!無理数はそれ以外の数!

すごい!よく理解できているじゃん!
いま有理数の具体的な例を上げてくれたけど、無理数の例は上げられる?

無理数の具体的な例???

うーん…

あっ!
$$\sqrt{2}$$みたいな、ルートの数って無理数だったよねー!

よく覚えてるね!$$\sqrt{2},\sqrt{3}$$などは確かに無理数だ。

でも、もっと身近で皆がよく知ってる無理数もあるよ!

うーん…

円周率$$\pi$$って覚えてる?

ああ!円周率!
たしか、小数点以下がどこまでも続くんだよねー


$$3.141592653589793238\cdots$$
円周率$$\pi$$

そうそう。円周率は既約分数で表せない、無限に続く循環しない小数、つまり無理数であることが証明されている。

昔から、この円周率がどのような値になるのかを求めるために、多くの数学者が計算に人生を費やしているんだ。

円周率を求めるなんて、すごいね…

紀元前2000年頃。古代バビロニアの時代には、円周率として$$3$$や$$\displaystyle 3\frac{1}{7}=3.142857$$などの値が使われていたと言われている。

紀元前3世紀には、有名なアルキメデスという人が、円周率は、$$3.14084$$から$$3.14286$$の間の値であることを証明した。

2世紀には、張衡という人が、円周率として$$\sqrt{10}=3.162$$を利用するのがよいと言ったり、13世紀には、フィボナッチという数学者が、円周率は$$\displaystyle \frac{864}{275}=3.1418\ldots$$位だと計算している。

ふむふむ…

円周率で忘れてはいけないのは、オランダの数学者である「ルドルフ」だ!

彼は人生の多くの時間を円周率の計算に費やし、なんと円周率を19桁まで正確に計算することに成功した。当時としては素晴らしい偉業だった。彼の栄誉をたたえ、オランダでは円周率のことを「ルドルフ数」とも呼んでいるらしい。

へぇー!そのルドルフっていう人、すごいね!

それではここで問題です。

はい!

円周率を求めよ

えええー!!!


円周率を求めてみよう!

円周率を求めるなんて、そんな問題聞いたこと無いよ。。。

そんなことできるの?

できるよ!
できるから、円周率は$$3.14\ldots$$って分かってるんだよ。

今まで数多くの数学者が円周率の計算に取り組んできた。
そこからヒントを得れば、高校生の知識で十分に円周率を求めることができる!

そういえば、こんな大学入試の問題もあるんだよ。


円周率の入試問題1円周率の入試問題1


円周率の入試問題2円周率の入試問題2

ひょえぇーー

大学の入試問題で出題されるぐらいだから、高校で学ぶ数学の知識で、ある程度の円周率は求めることができる。

例えばこの図を見て欲しい。


円に内接する正六角形円に内接する正六角形

これがどうしたの?

半径が1の赤色の円に、青色の正六角形が内接してるね。

この青色の正六角形の「外周の長さ」は分かるかな?

んーと。

この図をみると、正六角形は、6つの正三角形があわさって作られていることが分かります。
正三角形の一辺の長さは1なので$$1 \times 6=6$$です!

正解!
ところで、半径1の円の円周の長さっていくらだっけ?

えっと、円周の長さは、半径を$$r$$とすると$$2\pi r$$!

今は半径が1なので、$$r=1$$を代入して、$$2\pi$$だよね〜!

おお、順調だね!正解だ!

今、2つの長さがわかったね。
1つは、六角形の外周で、その長さは$$6$$。もう1つは円周で、その長さは$$2\pi$$だ。

馬鹿げたことを聞くかもしれないが、六角形の外周と、円周と、どちらが長いかな?

え!?
どう見たって円周だよね?

とすると、何が言えるかな?

え?何が言えるか…?


(円周の長さ)$$=2\pi$$
(六角形の外周の長さ)$$=6$$
円周の長さは、六角形の外周の長さより長い

ここから何が言えるか?

ああっ!
ひょっとして、$$2\pi>6$$ってこと!?

その通り!これを解くと…

$$\pi>3$$だ!円周率が3より大きいことが証明できた!

おめでとう!
東大の入試問題「円周率が3.05より大きいことを示せ」には、あと少しだけ足りないね…

あとたったの$$0.05$$だけ足りない…

今は正六角形を利用したが、正十二角形を利用して、数2で習う「三角関数」と組み合わせれば、同じ考え方で円周率が3.05より大きいことが証明できるんだ。

三角関数は2年生ぐらいで習うから、はるかが今頃学んでるんじゃないか?

へぇ〜
なんか、東大の入試問題でも頑張ったらできそう!

まあ、普通の入試問題はもっと難しいけどね。

そうだよねー

・・・

なに考えてるの?

ぽんさん、これだけだったら、$$\pi$$がどれ位大きいか、わからなくない?

ん?どういうこと?

今、あかりは$$\pi>3$$を証明したんだよね。でもこれだけだったら、$$\pi$$がどれぐらいなのか、わからないじゃん。
$$\pi=4$$かもしれないし、$$\pi=5$$かもしれないし…

なんか、「$$\pi<$$◯」みたいな不等式も欲しい気がするんだよ。[/linea] [linep]おお!おもしろいところに気がつくね![/linep] [linep]じゃあ、外周を考えてみたらどうだろうか?[/linep] [fade width="40"]円に外接する正六角形円に外接する正六角形[/fade] [linep]せっかくだから、これは宿題にしよう![/linep] [linea]えー!しゅくだいぃぃ…

できそうな、できないような…

外周が円周より大きいことを利用して、不等式を作ればいいんだよねー!

そうそう!
上手くやれば、およそ$$\pi<3.46$$という不等式が導き出せる。[/linep] [linep]さっきの結果と合わせると、$$3<\pi<3.46$$という結論が導き出せるよ![/linep] [linep]ルートが出てくるので、$$\sqrt{3}=1.73\cdots$$を思い出して、やってみてね![/linep] [linea]ううう。頑張ってみる...[/linea] [lineend] [ad] [suggest id="126,1093,788"]