- 自然数の0乗は、必ず1です。
- 0を0乗した答えは、数学者の中でも意見が分かれています。
- 数学の答えは、1つに定まらないことがあります。
数学の授業で、1や5などの自然数を0乗すると、1になる。ということを学びました。$$1^0=1$$、$$5^0=1$$です!なんか不思議な気もしますが…
確かに、初めに習うときは少し困惑するかもしれないね。
学校の先生には、難しく考えずに覚えろって言われました…
で、思ったんですけど、自然数以外の数ではどうなるのでしょうか?
自然数以外というのは、例えば?
「何とかの0乗」の何とかの部分が自然数じゃない時です。
例えば…$$(-1)^0$$とか、あとは$$0^0$$とか!
$$-1$$や$$0$$は自然数じゃないですよね?
おお!なかなかおもしろいことに気づくね!
実は驚くべきことに、数学の世界では、$$0^0$$という数は1つに決まらないんだよ。「$$0^0=0$$だ!」と言い張る数学者もいれば、「いやいや、$$0^0=1$$のほうがいいんじゃない?」という数学者もいる?
えっ!!
数学って、そんなテキトーな感じでいいんでしょうか?もっと答えがこう…バシッと決まらないと、ダメじゃないんですかね…?
やっぱりそう思う?
実は、高校数学では「答えがバシッと決まる」数学だけを扱ってるんだ。
でも、本当の数学の世界では、「答えがバシッと決まらない」問題もある。答えが存在しなかったり、証明ができなかったり…
へぇ…なんだかすごそうですね…
話を元に戻そう!
$$0^0$$はどうして定義できないのか?
「$$0^0=1$$だ」と言っている数学者の主張は、簡単にいえばこうだ。
「なんとかの0乗」という数。つまり、そのなんとかを$$n$$で表すと、$$n^0$$はいくらになるか、というのを考えてみる。
どういうことですか?
例えば$$n=3$$のとき、$$n^0$$はいくらかな?
$$3^0=1$$ですよね…?
その通り。では、$$n=2$$のとき、$$n^0$$は
$$2^0=1$$です。学校で覚えろと言われた問題そのままです。
そうだったね。同じようにして、$$1^0$$も$$1$$になる。$$n=1,2,3,\cdots$$の時に$$n^0=1$$なんだから、$$n=0$$のときも、$$n^0=0^0=1$$になるだろ!という考え方が、$$0^0=1$$派の主張だ。
うーん…
そう言われると、確かにそんな気もしますが… でも、$$0^0=0$$と主張する人もいるんですよね?
そうだね。では、その人の主張も見ていこう!
さっきは「なんとかの0乗($$n^0$$)」を考えた。
次は、「0のなんとか乗($$0^n$$)」を考えてみる。
はい。
$$0^3$$は分かるかな?
0を3回かけるだけなので、$$0^3=0\times0\times0=0$$です。
では、$$0^2$$は?
$$0^2=0\times0=0$$です。
あ!言いたいことが分かりました!
$$0^1=0$$です。だから、$$0^0$$も、$$0$$っぽいよね?ってことですよね!?
その通り!よくわかったね!
さっきの考え方と同じように、$$n=1,2,3,\cdots$$の時に$$0^n=0$$なんだから、$$n=0$$のときも、$$0^n=0^0=0$$になるだろ!というのが、$$0^0=0$$派の主張だ。
うーん。どちらの主張もあってそうな気はするんですが…
まさにその通りで、どちらの主張も数学的には一理あるんだ。
だから数学的には$$0^0$$は$$1$$にもなるし$$0$$にもなる。
なんだか数学の意外な側面を見た気がします…!