- 微分を使えば、「今盛り上がっているもの」を調べる事ができます。
- Twitterなどのトレンドは、微分の考え方を使って算出されています。
はるかやあかりは、流行りものには興味ある?
うーん…私はブームに乗るというか、自分の好きなモノを貫きたい人です。
あかりは、ブームに乗っかるの好きだよ!皆で共通の話題で盛り上がるの楽しいし!
流行りのお笑い芸人のネタとか、流行りのファッションとか!
確かに、皆で盛り上がれるっていうのが、流行りのいいところだねー
ところで、あかりはどこで「今はこれが流行ってる!」っていう情報を手に入れるの?
えっと…友達から聞いたり、あとテレビで見たりとか…かな?
あと、Twitterとかで流行ってるのを見たりとか!
なるほど〜
じゃあ今日は、Twitterのトレンドの話をしよう!
おお!面白そう!
はるかは、「トレンド機能」って知ってる?
はい、たまに私もよく見ます!
それじゃあ話が早いね!
トレンド機能とは、Twitterの中で特に盛り上がっている単語が表示される機能だね!
例えば、ハロウィンの日(2014/10/31)のトレンドは、こんな感じだった。
ハロウィンの日のトレンド
(引用:https://twitter.com)
ポッキーの日(2014/11/11)のトレンドは、こんな感じだったね。
ポッキーの日のトレンド
(引用:https://twitter.com)
へぇー!ちゃんと「ハッピーハロウィン」とか「ポッキー」とかの単語が、トレンドに反映されてますね!
このトレンドって、Twitterを作ってる会社が決めてるんですか?
うん。でも、手作業で日本中の全てのツイートを調べて、何が流行っているのかをチェックするのは大変だよね?
だから、コンピュータを使って自動で、今現在、何がトレンドなのかを計算しているんだ。
コンピュータって、計算すごい早いもんねー
コンピュータが全部のツイートを調べて、その中で一番多くツイートされている単語を表示すればいいんだよねー
と思うじゃん?
ん?あかりなんか間違えたこと言った?
今あかりは、「一番多くツイートされている単語をトレンドにすればいい」って言ったよね?
うん。
えっ!?違うの!?
じゃあ、こんな例を考えてみよう。
例えば、×月2日の日本中の全てのツイートが、以下の6つだけだったとき、あかりは何をトレンドにしたい?
えっと…なんか嵐の番組があったっぽいね。この中からトレンドを一つ選ぶなら「嵐」じゃない?みんな嵐の話してるし…
はるかはどう思う?
えっと、私もトレンドにすべき単語は「嵐」だと思います。でも…
あかりの考え方では、トレンドが「今日」になるんじゃないでしょうか…?
えっ!なんで?みんな「嵐」って言ってるよ?
「嵐」って投稿された回数は何回?
えっと、AさんとBさん、Dさんの3人だよね。
じゃあ、「今日」は?
Bさん、Cさん、Eさん、Fさん…
あっ!4回だ!嵐より多い…
えっ?じゃあ、トレンドは「今日」になるの?
でも、トレンドが「今日」って、なんか変じゃない?(笑)
うーん…
考えるヒントとして、もう一つ例を見てみよう!
×月1日の日本中のすべてのツイートがこれだけだったら、何をトレンドにしたい?
えっと、トレンドにしたいのは「マクド」だけど、あかりの考え方じゃ、やっぱりトレンドが「今日」になっちゃうんだね…
うん。その通り!
このままだと、Twitterのトレンドは、いつも「今日」になってしまう。
どうすればトレンドを上手く決定することができるかな?
なんか難しそう…
えっと…
トレンドだから、なんというか、盛り上がってる単語を取り出せばいいんですよね…
その通りだけど、問題はどうやって取り出すかだね。
全然わかんない!
例えば、昨日はそんなに投稿されてなかったけど、今日になって一気に投稿され始めたものをトレンドにするっていうのは、どうでしょう?
お!いい考えだ!
まって!どういうこと?(笑)
えっとね、さっきの例では、×月1日も、×月2日も、どちらも「今日」という言葉が一番ツイートされていたよね。だから「今日」という言葉は、いつもツイートされているから、×月2日に流行ってる言葉じゃないんだよ。
でも、「嵐」を考えてみると、嵐っていう単語、×月1日には全然ツイートされてないよね?でも、×月2日になってから、いきなりツイートされ始めた。
だから、ツイート数が前日と比べて変わらない「今日」より、前日と比べて一気に増えた、つまり盛り上がった「嵐」をトレンドにするってことだよ。
おおお!頭いい!
その考え、良さそうだね!!
整理してみよう。
トレンドを考えるには、あかりの言った「一番多くツイートされている単語をトレンドにする」のではなく、はるかの言った「昨日に比べてよりツイートされた単語をトレンドにする」といいということだね。
そのためには、×月2日にツイートされた回数から、×月1日にツイートされた回数を引けばいいね。
うんうん。
その値を、「盛り上がり度」と言おう。
【盛り上がり度の定義(1)】
(盛り上がり度)$$=$$(その日にツイートされた数)$$-$$(前日にツイートされた数)
「盛り上がり度」…ですか?
例えば、「嵐」という単語は、×月2日に3回ツイートされてる。×月1日には1回だ。だから、嵐の盛り上がり度は$$3-1=2$$だ。
なるほど!
「今日」の盛り上がり度は計算できる?
えっと、×月2日に4回、×月1日に5回だから、$$4-5$$で$$-1$$だ!
あ!×月2日の盛り上がりを調べるときに、「今日」の盛り上がり度は$$-1$$、「嵐」の盛り上がり度は$$2$$だから、「今日」より「嵐」のほうが盛り上がってるってことですね!
だから、「今日」じゃなくて「嵐」をトレンドにすればいいのかー
そうそう!2人とも納得したみたいだね!
ところで、グラフにすると、もっと分かりやすいよ!
横軸が、ツイートされた回数を表してるね。
あああ!
なにか気づいた?
ひょっとしてだけどさ、今計算した「盛り上がり度」って、「傾き」のこと??
おお!ご名答!その通りだよ!!
いま俺たちは、「盛り上がり度」というよくわからない値を計算したけど、この値は実は「傾き」のことなんだ!
なるほど!ツイートの数をグラフで書いた時に、ぐっ〜って上向きに上がってる単語が、傾きも大きくて、盛り上がってるってことですね!
そうそう、よく理解出来てるね!
おおお!なんか面白くなってきた!!
ところではるか、傾きと聞いて「び」から始まる二文字の単語、思い出さない?
えっ…と、傾きだから…
「微分」ですか?
びぶん?
そう、グラフの傾きと聞いて、まず思い出して欲しいのは「微分」だ。微分は数2で学習するから、あかりはまだ習ってないかもしれないね。
では、これから「トレンド」と「微分の考え方」はすごく似ているんだよということを、紹介するよ!
トレンドは微分?
さっきは、×月1日と×月2日だけの極端な例を見たけど、もう少し現実的な例を見てみよう。
ツイートの時間をもっと細かく調べると、「嵐」が含まれるツイートの数が以下のようになっていたことがわかった。
×月1日の夜ぐらいに、皆ツイートし始めたってことだね。
そうそう。
そして、×月2日の朝には落ち着いて、後は徐々にツイート数は下落している。
では、このグラフから、盛り上がり度は計算できるかな?
えっ、でも、さっきみたいに具体的な数値が無いから、できないんじゃないですか?
厳密にはできないかもしれない。でも、だいたいなら求めることができる。
まず、「盛り上がり度」とは傾きのことでした。
はい。
傾きを求めるには、微分すればいいんだよね?
そうですけど…
で、微分してみると、こんな赤色の曲線が引ける。
あっ!そっか!
微分した値が、「盛り上がり度」になるんですね!
そうそう!
【盛り上がり度の定義(2)】
(盛り上がり度)$$=$$(ツイート数を微分した値)
あかりに説明すると、微分をすると、その曲線の傾きを求めることができる。傾きが0のところは微分した値も0だ。
上のグラフに書いてある、青色の曲線の傾きを、下のグラフに書いたってこと?
そうそう。
あ!それで「盛り上がり度」って「傾き」だったから、どれだけ盛り上がってるかを見るには、下のびぶん?のグラフを見ればいいんだね!
その通り!
分かりやすいように色を付けてみたよ!
緑色の部分が、「盛り上がり度」が正の値の時、つまり盛り上がってる時だ。
そして赤紫色の部分が、「盛り上がり度」が負の時、つまり盛り上がってない時だね。
すごい!分かりやすいです!
今は「嵐」の単語だけ考えてみたけど、こうやっていろんな単語を考えて、その中で一番盛り上がり度の大きい、つまり微分した値が大きい単語をトレンドにすればいいんだよ。
へぇ〜!トレンドって「びぶん」なんだね。
なんか、これからTwitterのトレンド見るたびに、「あぁ〜びぶんだ〜」って思うかもしれないよ(笑)
それは良いことだ!
数学が、こんな身近にも使われていたんだなー!ってことを実感してもらえれば、俺も嬉しいよ!